経済協力

平成29年7月3日

対ボスニア・ヘルツェゴビナ 国別開発協力方針 (平成29年7月)



1.当該国への開発協力のねらい
  ボスニア・ヘルツェゴビナは,2つのエンティティ[1]及びブルチュコ特別区からなる国家である。同国政府は,国際社会の監督の下でデイトン合意[2]に基づく和平履行に取り組んでいるが,紛争終結から20年以上経過した今なお,例えば同じ学校内において,ボシュニャク系,セルビア系,クロアチア系の民族ごとに異なるカリキュラムの下で授業が行われる事例が散見されるなど,同国の民族間に存在する溝は深い。また,同国においては,紛争の際に使用された地雷・不発弾が残っており,依然として,人々の安全な暮らしを脅かすとともに社会経済活動の妨げになっている。
 同国における民族融和の促進や,地雷・不発弾の除去を支援することは,同国が将来に亘って平和的・安定的な国家として発展することに繋がり,西バルカン地域,ひいては欧州地域全体の平和と安定にとって極めて重要である。国際社会の責任ある一員として,我が国が,同国の平和と繁栄に引き続き貢献することは意義がある。
また,同国は,2016年2月にEU加盟申請を行い,EU加盟に向け取り組んでいるものの,環境分野での遅れが指摘されている。同国がEUの環境基準を達成するため,我が国の優れた技術と知見を活用できる同分野において協力することは,質の高いインフラの輸出拡大を推進する我が国の方針と一致する。
 


2.我が国のODAの基本方針(大目標):社会の安定化と経済発展に向けた支援

 我が国の高い技術と豊かな知見を活用できる分野を中心に,同国の安定と持続的な経済成長を支援し,ひいては同国のEU加盟に向けた努力を支援する。



 3.重点分野(中目標)

(1)平和の定着・民族の融和
 平和の定着に向けて,民族融和,保健衛生・教育サービスの改善,地雷・不発弾除去等の分野における支援を行う。
(2)環境に配慮した持続可能な経済成長
 同国が有する豊かな自然を生かし,また紛争後に達成した経済成長を持続可能なものとするため,我が国が有する優れた技術と知見を可能な限り活用しつつ,環境保全,観光振興及び中小企業育成の分野を中心に支援を行う。



4.留意事項

対象地域及び民族間(ボシュニャク系,セルビア系及びクロアチア系)のバランスを考慮するとともに,欧州の経済情勢など,同国に影響を及ぼし得る地域情勢にも留意する。
 

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[1] 高度な自治権能を持つ行政主体
[2] 1995年11月米オハイオ州デイトンで成立したボスニア・ヘルツェゴビナ包括的和平合意。これにより3年以上にわたる民族紛争が終息した。




 

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